鈴木結生
朝日新聞出版
これは本好きにはたまらない。
仕事を引退したときに、息子たちからもらった九官鳥にポケタと名付け、トルストイの箴言集『文読む月日』を1日ひとつ読み聞かせ、ポケタも時にそれをそらんじる。
自分が死んだあと、遺された蔵書をどうするか考えているうちに、アルバイトを雇って、蔵書の目録づくりをはじめる。できあがった目録を見ると、何やらもう一度読んでみようと思って手にとる本の内容をすっかり覚えていないことに気づく。
そうなのだ。数千冊を読んできても、それらはずっと残っていない。
読んでいない本とて、何冊もある。
それでも、いつ本を手放せばいいのか決められない。
覚えているものなど、ごく少数で、残される家族にとってはいい迷惑だろう。
そして、誰かにもらってもらうとしても、それもまたあまり喜ばれないことはわかっている。
本はしょせん持ち主だけが愛でるもの。
この本は図書館で借りたのだけど、手元に置いておきたくなっている。
手元にきても決して読むことはないのだろうが。