子どものころ『シートン動物記』を読んだ人なら、あの時の気持ちを思い出したくて手に取るかもしれない。けれど、いい意味で期待は裏切られる。抒情は一切排され、人間と動物の対立、相容れない関係がこれほど太く描かれていることに驚く。緊張感は濃く、短い作品をひとつ読むだけでも、次を開く前に深呼吸が要るほどだ。「スプリングフィールドのキツネ」に描かれる親の情ゆえのラストの行動には絶句した。ハードボイルド好きにも刺さる一冊だ。
子どものころ『シートン動物記』を読んだ人なら、あの時の気持ちを思い出したくて手に取るかもしれない。けれど、いい意味で期待は裏切られる。抒情は一切排され、人間と動物の対立、相容れない関係がこれほど太く描かれていることに驚く。緊張感は濃く、短い作品をひとつ読むだけでも、次を開く前に深呼吸が要るほどだ。「スプリングフィールドのキツネ」に描かれる親の情ゆえのラストの行動には絶句した。ハードボイルド好きにも刺さる一冊だ。