朝ドラ「らんまん」
あと少しで最終回を迎える今期の朝ドラ「らんまん」。野の花好き、山歩き好きなら、なおのこと楽しめる朝ドラにすっかりはまっています。
朝ドラをご覧になっていない方に、牧野富太郎氏を簡単にご紹介すると、小さいときから植物好き、独学で植物の知識を身につけ、高知から東京に上京した折に、東京大学理学部植物学教室に出入りを許されます。植物分類学の研究にいそしみ、日本植物分類学の基礎を築いた一人とされています。全国からの要望に応じて各地を巡り、植物を知ることの大切さを一般に広く伝え、植物知識の普及につとめたことで、たくさんの人から名を知られるようになった人物です。(高知県立牧野植物園プロフィール参考)
われらの牧野富太郎!
朝ドラに限らずですが、ドラマ化されたら書店には関連書籍が並びます。牧野富太郎特集コーナーでも、自伝から図鑑、画集、小説など様々な本を目にするようになりました。
ドラマをきっかけに本を探すとき、牧野富太郎博士自身を知りたいのか、植物を知りたいのか、どの本から読もうか迷ったときに、まずオススメしたいのが本書『われらの牧野富太郎!』です。
「牧野マニア」である、いとうせいこう氏が全体の監修を行っており、カバーイラストはあの高野文子さん!(のびやかでやわらかな線で描く漫画はどれも最高!)
植物色のグリーンでまとめられた本書をぺらりめくってみると、「雑草という名の草は無い」という言葉が迎えてくれ、牧野博士ヒストリーが語られます。次は、牧野博士がよく行っていた、植物採集。博士の故郷である佐川での植物採集が写真たっぷりで紹介されます。ここではプランツ・パーティと称して、自然さえあればどこでもできる催しです。牧野博士は「植物を学ぶのであえば、交流を広げなさい」と言ったそうです。たしかに、好きなものが同じ仲間たちと、自然を歩き、おいしいものを食べ、知らないことを知っていくのは、最高の娯楽ではありませんか。プランツ・パーティに参加している人たちの笑顔がそれを証明しています。
朝ドラの脚本家である長田郁恵さんも登場し、いとうせいこうさんと「らんまん人生」を語りつくします。いままでの朝ドラの多くは、主人公が成長し、なにかを達成することが多いですが、「らんまん」では、周囲の人たちも深く描かれ、最初は悪役かと思った田邊教授にすら、心が動かされました。
長田さんは「植物と人間を結びつけるということが、このドラマにおける出発点です」と語られます。「そこを出発点にして、次々に植物との出会いが人との出会いにつながっていく(中略)だから出会うことの積み重ねなんですよね。植物好きっていうと、どこかのんびりと平穏なイメージで捉えられがちですけれど、そうではなく、本来は積極的に出会いにこちらから行くことを繰り返すことだったんです」
たしかに、ドラマでも主人公の槙野万太郎の出会うところには植物があります。人との出会いによって、多額の借金があるときも、手を差し伸べてくれる人と出会っているんですね。
本書も、牧野博士だけでなく、現代の牧野植物園に関わる人たち、実際に牧野博士と交流のあった人、身内の方など、たくさんの人たちがうれしそうに牧野博士との出会いを教えてくれます。
植物好きの人たちがつくっているからこそ伝わる「熱」があるからこそ、オススメです。
【われらの牧野富太郎!】
出版社:毎日新聞出版
価格:2,420 円(税込)
ISBN:978-4-620-32765-5
刊行日:2023/3/13
著者:いとうせいこう
公式サイト:われらの牧野富太郎!