ゆきのひのおくりもの

すずき出版より『ゆきのひのおくりもの』が復刊されました! うれしいな♪

このレトロ感あふるる感じの表紙は、一定数の気持ちを即座にわしづかみにしているはず。
手元に届いたものは1週間で増刷がかかった2刷りめです。

日本に紹介された最初は2003年。いまから14年前ですね。
パロル舎は、残念ながらいまはない出版社ですが、この絵本シリーズを立ち上げるなど絵本出版に意欲的でした。

原書は「ペール・カストール」シリーズの1冊で、1931年にポール・フォーシェにより創刊されたもの。
まだ子どもの本がほとんど存在しなかった時代に、教育のため、文章、絵とものに最高に質のいい本を安い値段で子どもたちに提供として立ち上がったシリーズです。(訳者ふしみみさをさんによる説明より)

このあたり、福音館の「こどものとも」シリーズに通じるものを感じます。
「こどものとも」もロングセラーが多いですが、
このシリーズもまたフランスのみならず世界中で何世代にもわたって読み継がれているロングセラーです。

パロル舎版も新版のすずき出版、どちらもすてきです。

好奇心より比べてみますと、違いは版型の大きさ、すずき出版の方がちょっぴり縦長。
紙質はすずき出版さんの方は光沢があり、パロル舎さんの方はマットな感じです。

訳者はどちらも同じふしみみさをさん。
訳文はすずき出版ではよりブラッシュアップされています。

さて物語は
雪がしんしんふっているなか、こうさぎはおなかがすいて、食べ物を探しに雪の中を歩きます。
そこで見つけたのがにんじん2本。
1本を友人のこうまくんにもっていきます。
こうまくんもまた外で別の食べ物をみつけ家に帰ってきたときにんじんをみて、今度は……。

やさしい気持ちがリレーのようにつながっていくお話。
ゲルダ・ミューラーの動物を描くタッチは写実的でも、デフォルメも擬人化もなく、それでいて、どの動物の目も気持ちを雄弁に語っていて親しみを感じます。

これからの冬の季節、あったかい部屋で読むのにぴったりの絵本です。