Month: January 2022

『みんな みんな すてきな からだ』他

125 自分を大事にする   2022年。年が明けました。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。  1月10日は成人の日。 感染症がじわりじわりと広がっている中ではありますが、 新成人のみなさま、おめでとうございます。 しんどいことも楽しいこともひっくるめて、おもしろい未来を体験できますように。  さて、最初に紹介する絵本はこちら。  『みんな みんな すてきな からだ』 タイラー・フェーダー さく すぎもとえみ 訳 汐文社  表紙には女性、男性、赤ちゃんと、いろんな年代の人が水着姿で描かれています。 どの表情もエネルギーを感じられ、体はあざがあったり、まだらだったり、体毛がたっぷりあったり、それぞれ多様です。  表題の「みんなみんなすてきなからだ」は、自分や他人のからだを尊重する社会をめざす合い言葉」と解説にあります。 お互いに尊重しあう社会って、とってもすてきだと思いませんか。  ページを繰ると、どのページにもいろんな「みんな」がいます。  モデルのような美しい体にあこがれることもあるけれど、自分はそうじゃないと否定しなくてもいいのですものね。 でもでも、映像でみえてくる美しさについつい惹かれて、それに近づきたくなる欲求がでることもあります。ただ、それはいまの自分を少しだけ残念に思うことにもなるので、そんな時はまずは自分を丸ごと受け止めるのも大事。  小さい人も大人もこの絵本を読んで、自分も他人もみんなすてきな体をもっていることに、あらためて気づけるのではないでしょうか。  からだつながりで次に紹介するのは 『中絶がわかる本』(ロビン・スティーブンソン 塚原久美 訳 福田和子 解説  北原みのり 監修 アジュマブックス)  小さいこどもから、ティーン向けににフィクション、ノンフィクションを書いている作家によるもので、本書はノンフィクション。カナダ、ブリティッシュコロンビア州における最高の児童文学賞も受賞しているティーンエイジャー向けの性教育と人権の本です。  こちらも、先に紹介した絵本のように、表紙の女性達の眼差しが印象的です。  日本において、避妊の知識、性と生殖の権利(リプロダクティブ・ライツ)については、まだ広がりが弱いのかもしれません。若い人たちも、なかなか自分達の性について語るタイミングも見つからないのかもしれません。  そういう時、本はひとりで読めるので知識を得るにはとてもいいツールです。  自分の身体についての権利を知るということは、自分の自由につながります。性教育? 人権? なんだか難しそうと感じる方もいらっしゃるでしょうか。読むと、これは自由について書かれているのだと腑に落ちると思います。  中絶についての歴史にはじまり、先人たちが獲得してきた人権について、女性だけでなく、男性にも知って欲しい。 権利はだまって自分についてくるものではなく、闘って得てきた歴史があるのですから、それは知りたいことです。  読了後、まずは一緒に暮らしている娘にすすめました。  以前ご紹介した感染症と人類の歴史全3巻の残り2巻も刊行されました。  『感染症と人類の歴史 治療と歴史』 『感染症と人類の歴史 公衆衛生』  池田光穂 監修 おおつかのりこ 文 合田洋介 絵 文研出版  今回も本の中で、読者に歴史などを案内してくれるのは、九尾のキツネ。 時空をとびまわり、各地のいろいろな時代へと誘ってくれます。  歴史を知ることは、いまを知ること。 感染症に必要以上に恐れをもたず、知識をもってするべき行動をとれるようにすることです。研究を重ねて治療法を獲得してきた道を知り、その道のりに興味をもつことは、未来につながるように思います。  「治療と歴史」では、原始時代からはじまります。体の具合が悪いときに、痛む場所に手をあててなでたり、おしたり、そういうところから、今度は、食べると具合をよくする植物を見つけたり、動物の血や角、石、貝殻などの中に体にいいことを学んでいったそうです。  平安時代、日本でもっとも古い医学書といわれている『医心方』に書かれている治療法も興味をひきました。 例えば養生法(健康法)。「朝おきたとき、つべこべいってはいけない」 なるほど、これは今でもつかえそうです。  一読している間、そうなんだ、そうなんだといま治療できている感染症について、先人の方々による科学の力にあらためて感じ入りました。  「公衆衛生」では、人が生きていくために大事な健康的なくらしについて書かれています。  ひとりひとり個人だけではなく、社会全体が健康になることを目指す。そのしくみが「公衆衛生」です。  それでも基本はひとりひとりの行動。 コロナの拡大をみていても、それは十分納得できます。  巻末には「感染症」と子どもの本も22冊紹介されています。 感染症がテーマになっている本だけではなく、物語の時代背景として感染症が描かれているものもあります。 『アンネの日記』が紹介されているのは、アンネの死は、衛生状態の悪い強制収容所で発生したチフスによるものだからです。  最後に現在最新刊が刊行されている福音館書店の「こどものとも」2月号をご紹介します。  「オトシブミのふむふむくん」 おのりえん 文 秋山あゆ子 絵  お正月の楽しみである年賀状も年々売上がさがっていると聞きますが、1度にたくさんの賀状を書くのは大変でも、懐かしい人からもらえる一文添えの葉書はうれしいものです。  1992年に創刊された月刊誌「おおきなポケット」(2011年に休刊)で「虫づくし」を連載していた秋山あゆ子さん。その連載をもとに、おのりえんさんが物語を紡ぎます。  手紙のすきなオトシブミのふむふむくんが書いた手紙が、同じく手紙のすきなオトシブミのふみふみさんに届きました。ふたりの文通がはじまります。  細かく書かれた虫たちの年中行事の愛おしさがたまりません。 宝物の一冊になりました。  (林さかな)https://twitter.com/rumblefish